デジタル化、ペーパーレス化により、新しい文書管理の重要性が高まっています。そのため、文書情報管理士の資格が注目されています。
そこで今回、文書情報管理士とはどんな資格であり、取得したらどのような利点があるか、どのように取得できるのかなどご紹介します。
文書管理情報士とは?
文書情報管理士は、文書類や帳票類、伝票類、図面などの紙情報をスキャンなどしてコンピュータやタブレット上で閲覧できるようにしたり、大量の書類を電子情報として長期的に保管したりする方法を理解するために作られた資格です。この資格は、約20年の歴史があり、累計1万4,000人以上の取得者がいます。
文書情報管理士の取得理由
文書情報管理士の資格の取得理由は人によって異なります。資格を取得する理由等について紹介します。
文書情報管理士を取得する理由の背景には、「e-文書法」という規則・法律を定めたことと、「電子帳簿保存法」を改正したことから注目されるようになりました。
ここでは、「e-文書法」、「電子帳簿保存法」とは何か、改正したことで何が起こるのかを説明していきたいと思います。
e-文書法
e-文書法とは、法律によって保存が義務付けられている様々な文書に対して、紙媒体ではなく、電子化したファイル、文書の保存でもOKになったという法律です。注文書、契約書、見積書、請求書、領収書などの書類がe-文書法の対象になります。しかし、緊急時にすぐに読める状態でいなければいけない書類や、免許書や許可書のように現物性が高いものなどは対象外となります。
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法とは、紙での保存が義務付けられている国税関係帳簿書類を電子データ化して保存してもOKという法律です。国税関係帳簿書類とは、一つの言葉ですが2種類に分けられます。一つ目が「国税関係帳簿」で、会社全体の取引やお金の流れを記録した物です。二つ目が「国税関係書類」で、会社の日々の取引などに使用した書類のことです。
電子帳簿保存法改正について一部説明します。
承認制度を廃止しました
今までは、PCなどで作成した国税関係帳簿を電磁的記録(メモリ、ハードディスクなど)に保存する場合は、事前申請が必要でした。今回の改正では、事業者の負担を減らすため、事前申請は不要となりました。
電子取引の電子データ保存義務化
今までは、電子上の取引データを紙にして保存することが認められていました。今回の改正では、電子上の取引データを紙にして保存することが廃止となり、電子保存が義務化されました。今回の法改正により、今までは紙ベースで行っていたことが電子上で行うことが可能になりました。そのため、電子化を行おうとしても知識がなく、手順や、どのように保存・保管していったらいいのかわからないという企業が出てくると思います。それに対する専門的な知識を持っている文書情報管理士の需要が高まっているため、文書情報管理の知識を付けようと、資格を取得しようとする人は増えています。
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文書情報管理士の利点
入札に参加できる
1つ目の利点は、全国の都道府県や市町村、中央官庁、独立行政法人などが行う入札に参加できることです。内閣府、財務省、外務省、防衛省、国土交通省、文部科学省、厚生労働省、国税庁、会計検査院、宮内庁、気象庁、海上保安庁等、各地方国税局、各国土交通省地方整備局、国立国会図書館、国立公文書館、日本銀行、日本年金機構など、電子化業務の入札参加要件に文書情報管理士の資格が条件として提示していることがあります。公的案件入札を行う会社に勤めていれば重宝されます。
名刺に「文書情報管理士」と書ける
2つ目の利点は、文書情報管理士検定試験に合格すれば文書管理士を名乗れることです。名刺に「文書情報管理士」と記載することで、ビジネスの役に立つでしょう。
文書情報管理士の試験内容とクラスと難易度
文書情報管理士のクラスは、上から「上級」、「1級」、「2級」となっています。いきなり上級、1級を受けたりすることはできません。上級、1級は、前の級を取得しないと、受験できないルールですので注意が必要です。
それぞれの級ごとの試験内容や難易度をご紹介します。
2級
2級は電子化文書やマイクロ写真を取り扱うときの基本的な知識、技術や、ソフトウェア、ネットワーク関連の基礎知識などが出題されます。基本的にはテキストや参考書などに記載されている内容です。2級の合格率は約74%です。
1級
1級は2級の知識よりももっと深い専門的な技術、知識や、実技の応用力などが求められます。また、作業者に対する指導力も求められるため、2級よりより難しい内容です。1級の合格率は約65%です。
上級
上級は1級の知識や技術を持ちつつ、最新の知識と技術を求められます。さらにその知識等を分析して本質を捉える能力も必要になってきます。そのため、1級より難易度が格段に上がります。上級の合格率は約67%です。
この資格には有効期限があります。有効期限は5年となっており、更新が必要です。この資格は名刺などに記載できるため、資格保持者がすぐにわかります。この資格を持っていることで仕事の幅が広がったり、モチベーションアップにつながったりすると思います。コンサルティング企業や、官庁、自治体等の企業に対して有効です。最近では、スキャニング代行サービスのように書類のスキャニングを専門としている企業も増えてきています。そのような会社に就職・転職する際はこの資格が役に立ちます。
まとめ
以上、文書情報管理士について説明しました。ペーパーレス化や法の制定、改正により文書情報管理士を持っている人の需要が高まってくると思います。文書のデジタル化に関する知識などを付けていきたい方や、文書の電子化業務や入札が気になる方は挑戦してみてはいかがでしょうか?
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