「文書管理」はいつの時代にも必要といわれていますが、パソコンの中でフォルダ分けをちゃんと実施しているから大丈夫と思っていませんか。個人レベルではそれでよいかもしれませんが、会社全体や組織を考えた時はどうでしょうか。共有フォルダを設けてフォルダ分けして整理すればいいんじゃないと思っているあなた、それだけでは不十分です。図面文書管理は企業の知識継承を左右する重要な役割を担う重要な業務の一つなのです。なぜそういえるのか、今回はすべての図面文書管理の原点である「ドキュメント」に焦点をあてて本質に迫ってみたいと思います。
もくじ
ラテン語に学ぶ「ドキュメント」が持つ二つの本質
まず、「ドキュメント」の本質を理解するために語源を調べてみます。ドキュメントはラテン語の以下の2つの言葉に深く関係しているようです。
- Documentum(ドキュメンタム):証拠、手本
- Docere(ドケレ):教える
どうですか?今の「ドキュメント」とはちょっとイメージが違いますよね。どうやら、そもそもは「何かを証明するための証拠」であり、「誰かに知識や手順を教えるための手本」を表す言葉で、「ドキュメント」の役割を指しているようです。
もし、これを現代で扱われる具体的な「ドキュメント」を語源から追ってみたらどうなるでしょうか。
- 証拠としての価値
要件定義書やテスト仕様書は、お客様との「約束の証拠」となるため、あいまいだと、後で言った言わなかったという不毛な議論になります。
- 教育としての価値
設計書や運用マニュアルは後任者や運用チームにシステムの意図や構造を教える教科書。ここが分かりにくいとシステムのブラックボックス化(属人化)を招く最悪な結果になります。
このような結果をみるとドキュメントを作るってことが、単なる作業ではなく、未来の誰かに知識を託す「投資」と考えたら疎かにできないですね。プログラムコードも似たようなもので、ちゃんと正しいロジックと意図が組み込まれていなければ正しく動きませんものね。
ドキュメントを扱う「ファイル」と「フォルダ」の役割分担
ドキュメントがどういう本質を持っているかわかったところで、次に、この「ドキュメント」とは切っても切れない「ファイル」と「フォルダ」の役割についても整理してみたいと思います。
「ファイル」、「フォルダ」はパソコンの中で扱われる単位ですが、これらも語源を調べてみたいと思います。
- ファイル
語源:古フランス語のfiler(糸を引く、整列する)からきています。
原点:もともと、紙の書類を整理するために使う「綴じ紐」やその紐でひとまとめにされた書類の束を指していました。
つまり、ばらばらの情報を「整列させて、ひとまとめにする」役割のことを指す言葉ですね。 - フォルダ
語源:動詞 fold(折りたたむ)からきています。
原点:物理的な書類を挟み込み、分類することを指していました。
つまり、「複数のファイルを分類・整理し、階層構造で管理するための入れもの(ディレクトリ)」を指す言葉ですね。
では、ドキュメントは、ファイルとフォルダとどのような関係(棲み分け)なのでしょうか。
- ドキュメント:中身(人に教えたり、照明したりする情報)
- ファイル:中身を包む形式的な単位(保存・処理の対象)
- フォルダ:ファイルを分類し収める入れ物(整理・構造化の単位)
このような関係性を見ると、オブジェクト指向の「カプセル化」や「疎結合」の考え方にも通じる気がします。ファイルは、ドキュメントという情報をカプセル化し、フォルダは関連性の高いファイルを凝集度高くまとめるというように。
お客様の声から、もっと業種別に学んでみよう!
製造業の図面・文書管理 自治体の完成図書管理
D-QUICK導入事例集
設計・製造現場における「生きたドキュメント」の管理
さて、ドキュメントの価値を最大限に引き出すという話になると個人のパソコンでの整理術では済まされず、組織全体でドキュメントを管理し、活用する仕組みが必要になります。特に製造業や建設業で重要と感じるものが図面文書管理システムやPDMの存在です。
一般的なファイルサーバーというのは、単にファイルを置いておける「大きなフォルダ」にすぎません。ドキュメントの持つ「証拠」と「教育」の価値を生かすには決定的に機能が不足しています。
- 版管理機能の欠如
最新版と旧版が混在し「間違った図面」で製造や工事を進めてしまうリスクが常にあり、致命的です。 - 属性情報の欠如
ファイル名だけでは図面の内容(材質、部品番号、設計変更日など)を検索できません。必要なドキュメントを探すだけで貴重な労働時間を浪費してしまいます。 - セキュリティーと監査制の欠如
だれがいつ機密性の高い図面を見たか、印刷したかという履歴が残りません。情報漏洩のリスクが高すぎます。
このような内容がファイルサーバーで機能が不足している点です。ファイルサーバーの問題点を解決できる方法が図面文書管理システムなのです。
図面文書管理システムがドキュメントの価値を最大化
図面文書管理システムは、「ドキュメント」を「知識」として管理し、現場で生かすための機能を満載してます。
- 確実な版管理
システムが自動で版を統制・管理します。これにより、現場は常に最新かつ承認済みのドキュメントにアクセスできます。 - 高度な検索と属性管理
ドキュメントに「図番」、「材質」、「承認者」などのメタデータ(属性情報)をきちっと紐づけできます。これにより現場は「この製品に使われている図面」とか「Aさんが設計した図面」といった多角的な条件で瞬時に必要な情報にたどり着けます。 - アクセス制御
部署や役職に応じて、ドキュメントへのアクセス権をきめ細かく設定できます。重要な技術情報という「証拠」を必要な人にだけ「教える」ことができます。
最近の図面文書管理システムは、AIを使って紙の図面や手書きのメモまで自動で属性情報に変換したり、図面の形状から類似図面を探したりすることもできるようになってきています。ドキュメントはもはや静的な文書ではなく生きた資産として進化しています。

まとめ
さて、今回の話で、「ドキュメント」という言葉の持つ深くて重い意味や価値を感じてもらえたでしょうか。図面文書管理の原点にあるのは、証拠、そして、教えることです。
私たちが作るドキュメントは、未来の自分やまだ見ぬ誰かへのメッセージでもあると思います。皆さんも単にファイルをフォルダに保存するのではなく、このドキュメントは、未来の誰に何をどう教える証拠なのか?」という原点に立ち返った意識をもって日々の情報整理に取り組んでほしいと思います。
弊社のD-QUICKシリーズは、効率の良い開発や企業の持続的な成長につなげる確かな道を歩むための最適なシステムのひとつだと思います。是非ご検討、また、体験をしてみてください。
当サイトでは、「D-QUICKシリーズ」についてわかりやすく説明している資料をご用意しております。安心・安全に図面・文書管理を行うためのポイントが理解できる資料になっています。ぜひ、ダウンロードページより資料をご覧ください。
まだ情報収集レベルで、学びを優先されたい方
「図面・文書管理で困ったときのハンドブック」~製造業・完成図書・テレワーク・クラウド、すべての解決策をお見せします~
システムやクラウドサービス等の具体的な解決策を探している方
図面・文書管理システム「D-QUICKシリーズ」基本ガイドブック
版管理や採番に課題を感じている方
版管理と採番管理を解決する D-QUICK7機能ガイド
より詳しい事例を知りたい方
「製造業の図面・文書管理 自治体の完成図書管理 D-QUICK導入事例集」
「文書管理ノウハウ」の関連ブログ
- 文書管理の原点「ドキュメント」とは?現場で活かす価値も解説
- 設計 ・ 仕様書を含む契約書管理の課題を解決する効率的な方法
- 文書管理で原本を守る 文書管理システムとファイルサーバーの違いを解説
- 製造業DXの事例 課題と推進させるポイントをご紹介
- 製造現場の未来を拓く 図面のペーパーレス化がもたらす3つの革新
- 図面管理システムで始める完成図書のデジタル化
- AIで製造業の設計業務はどう変わる?課題と対応方法を解説
- ファイルサーバと同じ操作性を持つ検索ツールで効率化!基幹システム刷新のポイントを解説
- PL法で問われる証拠力、文書管理の重要性を徹底解説
- 機密情報を守り情報漏洩を防ぐ方法 図面・完成図書はどうする?
- フォルダ検索したい!なぜ目的のフォルダが見つからないの?
- ナンバーの付け方で劇的に変わる 文書管理の業務効率アップ術
- ナレッジマネジメントとは?情報の属人化を解決するシステムへ
- バックオフィスの文書管理の課題とは?システムが必要な理由を解説
- 書類の電子化をしよう!方法と注意点、事例をご紹介
- 文書管理されるファイルは保存?格納?違いや意味を理解してみよう
- ナレッジマネジメントとは?わかりやすく導入ポイントを解説
- 書類の保管期間は何年?保管期間一覧・保管理由と方法を解説
- 文書管理システムのプロポーザルを上手に受けるには
- 設計部に図面管理が必要な理由とは?開発部との役割も解説

