企業活動において、設計書や仕様書は、単なる技術文書にとどまらず、プロジェクトの根幹を成す「契約書」的役割を果たす場合があります。これらの文書は、取引先や顧客との合意内容を具体的に示すものであり、後のトラブル防止や権利義務の証明に欠かせません。
しかし、多くの企業においては設計・仕様書の管理が属人的であり、紙やファイルサーバーでの散在管理により、情報の紛失や混乱が発生しています。その結果、プロジェクト遅延や品質低下、法的リスクが生じるケースも珍しくありません。本記事では設計・仕様書を管理していく上で、どういった対応が出来るかまで、わかりやすくご紹介していきます。
契約書管理とは?
契約書管理とは、企業や組織が取引先や顧客との間で取り交わした契約書を保管・管理し、必要に応じて参照できるようにする業務を指します。契約書は取引条件や権利義務を明示した法的に重要な文書であり、正しく管理されなければ業務上のトラブルを招きかねません。
しかし、多くの企業ではまだ契約書管理がシステム化されておらず、以下のような運用が一般的となっています。
- 紙中心の保管による非効率性
契約書の多くは紙媒体で保管されており、契約書庫や担当者の机、キャビネットに分散しています。この方法では検索性が低く、必要な契約書を探すのに時間がかかります。さらに、災害や紛失による情報消失のリスクも高いです。 - 情報の分散管理
契約書が部署ごとにバラバラに管理されることが多く、例えば、営業部ではコピーを保管、法務部では原本を管理、経理部ではスキャンデータのみを保持するといった状況が発生します。その結果、どの情報が正しいかを判断できず、業務の遅延や意思決定ミスにつながります。 - 更新・期限管理の困難さ
契約には有効期限や更新期限、解約通知期限が設定されているものが多く、これを正確に把握できないと、自動更新されて意図しない契約継続や、期限切れによる取引停止といったリスクが生じます。担当者個人の管理やExcelによる手作業に頼るケースが多く、ヒューマンエラーは避けられません。 - セキュリティとアクセス権の不十分さ
紙や共有フォルダでの保管は、アクセス権限の細かい制御が難しく、機密性の高い契約内容が無関係の社員にも閲覧されてしまうケースもあります。逆に、必要な社員が探し当てるまでに手間取ることで業務効率が悪化することも少なくありません。
設計・仕様書と契約書の管理上の共通課題
設計・仕様書、そして契約書は、それぞれ用途や対象は異なる文書ですが、実務上は共通する管理上の課題を多く抱えています。以下に代表的な課題を詳しく解説します。
- 改訂履歴の追跡と整合性確保
設計・仕様書はプロジェクトの進捗に応じて繰り返し改訂されます。同様に、契約書も契約条件の変更や追加合意により改訂が発生します。改訂版が複数存在すると、どの文書が「正式な最新版」なのか関係者が判断しにくくなり、古い文書を参照して誤った作業や判断を下すリスクがあります。 - 複数部門・関係者での共有とアクセス権管理
設計・仕様書は設計部門だけでなく製造部門や品質保証部門が参照します。同様に、契約書も法務部門だけでなく営業、調達、経営層など多岐にわたる部署が確認する必要があります。共有が不十分であると、最新情報が現場に届かずトラブルを招く一方、過剰に共有されると機密性が損なわれる恐れがあり、アクセス権の管理が課題となります。 - 検索性と参照性の低さ
設計・仕様書や契約書はページ数が多い上に専門的な内容が記載されているため、必要な情報にたどり着くまでに時間がかかります。紙媒体やフォルダ階層管理では、検索に手間取り、レビューや交渉のスピード感を損なう要因となります。 - 法的・業務上の責任の重さ
設計や仕様に誤りがあると製品品質問題や顧客クレームに直結します。同様に、契約書の不備は法的なトラブルや金銭的損失を引き起こします。いずれの場合も「正確な文書の使用」「改訂内容の正しい反映」が企業の信用と利益を守るために不可欠です。
このように、設計・仕様書と契約書はいずれも「改訂管理」「共有管理」「検索性」「責任性」「関連性」という共通の課題を抱えており、統合的かつシステム的な管理が求められます。
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効率的な契約書管理を行う方法
設計・仕様書を含む契約書管理の課題解決のために、企業は文書管理システムの導入を進めています。文書管理システムを活用することで、以下のようなメリットが得られます。
- 一元管理と高い検索性能
設計・仕様書を含む契約関連文書を一つのプラットフォームに集約することにより、全文検索やメタデータ検索で必要な情報を瞬時に探し出せるようになります。 - 改訂履歴とバージョン管理
契約書には交渉過程や見直しによって複数のドラフトが存在します。システムを導入すれば、改訂履歴やバージョンを自動で記録・保持でき、誰がいつどの部分を更新したのかが明確になり、常に正確な最新版を使用できる環境が整います。 - 権限管理とセキュリティ強化
契約書は社内でも閲覧できる人を限定すべき情報です。文書管理システムでは、ユーザーごとに閲覧・編集・承認の権限を細かく設定可能なため、不要な情報流出を防ぎつつ、必要な人には迅速にアクセスできる環境を提供します。 - 監査対応の容易化
監査や訴訟対応の際には、過去の契約書やその更新履歴を短時間で提示する必要があります。文書管理システムにはログ機能が備わっており、誰がいつどの契約書にアクセスしたかを記録できます。監査対応がスムーズになり、ガバナンス強化にも繋がります。
文書管理システムを活用すれば、このようなメリットがあるのです。

まとめ
「設計・仕様書を含む契約書管理の課題を解決する効率的な方法」と題して、ご説明してまいりました。契約書管理は組織のリスク管理やコンプライアンス維持に繋がる重要な業務です。紙ベースや個別ファイルの管理では、検索出来ない問題や更新の漏れ、共有の難しさ等の課題がつきまといます。文書管理システムを使用して一元管理すれば、契約業務の正確性と効率性を大幅に向上させられます。
弊社が提供している文書管理システム【D-QUICK7】は契約書管理に必要な以下の機能をご提供しています。
- 一元管理と高い検索性能
ファイルをドキュメントといった単位で登録することにより、登録したファイルの中身を検索(全文検索)や属性情報で検索し、必要な情報をすぐに探し出せます。 - 改訂履歴とバージョン管理
ファイル名の統一化を採番機能で実施出来ます。またドキュメントは改訂時に自動的にバージョンが上がりますので、気を付けていなくてもバージョン管理が行えます。 - 権限管理とセキュリティ強化
文書の閲覧・編集といった操作権限をユーザーや部署ごとに細かく設定可能です。例えば、営業担当は閲覧のみ、開発部は編集・削除といった具合に、業務フローに合わせたセキュアな使い分けを実現します。 - 監査対応の容易化
誰が、いつ、どの文書にアクセスし、どのような操作を行ったのかを全て自動で記録しています。万が一のトラブル時には操作履歴を明確に追跡できます。
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