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3D設計と3DCADの課題と解決策 DTPDを理解しておこう

日本の製造業では設計の3D化が進む一方、現場では依然として2D図面が主流であり、設計と製造のデータ連携に課題が残っております。3D図面標準化の進展により、今後どのように3Dデータが設計や製造に活用できるかを解説いたします。

ものづくりの現状 

ツールはどれぐらい利用されているの?

設計とは「ある製作・工事などに当たり、その目的に即して、工事、敷地、材料、および構造上の諸点などの計画を立て図面その他の方法で明示すること」と定義されています。(広辞苑より)

 

製造業では、形のあるものを製造する時、製造する物の形状・スペックなどを誰にでもわかるように伝える手段として「図面」を作成します。図面は、設計部門の設計者が作成します。設計者は、昔、紙で手書き図面を作成していましたが、その後CADに変わっており、CADも2Dから3Dへ進化し、今では3D設計が主流になっています。

 

しかし、実際のものづくりは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)が発表している「我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査」では以下の数値が発表されています。

設計作業の利用ツール

・3Dデータでの設計:17.0%

・3Dデータ及び2Dデータでの設計:44.3%

・2Dデータでの設計:26.5%

・設計に関してはデータ化していない:12.2%

以上から、61.3%が3Dデータを利用した設計を行っています。

製造で利用している情報

・3Dデータ:15.7%

・2Dデータ:23.9%

・図面:54.3%

・その他:6.2%

 

以上から、78.2%が2D図面を利用してものづくりを行っています。まだまだ3Dではなく2Dが多いという調査データです。

この背景には、ものづくりの現場がゴミや埃・油など劣悪な環境やタブレットやノートPCなどが利用できない環境であることから、「情報伝達には紙が最適」と判断されているのではないでしょうか?

また、ものづくりに必要な「寸法公差」「加工注記」「品番リスト」「注記」などが、3Dデータでは表現が難しいケースもあります。

 

3DCADの現状

日本の産業界が本格的に3DCADを導入してはや20年以上を迎えています。多くの企業は設計図面を従来の紙の図面からデジタルデータに置き換えることで、設計データを有効に活用する方法を検討してきました。

その結果、各種解析ソフトを駆使した設計品質の向上、設計の見える化によるフロントローディングと生産立ち上げ期間の短縮、設計データを活用した計測などの自動化が期待できるようになってきました。

メカ関連システムの設計を2DCADから3DCADに移行するにあたり、多くの企業が多額の投資と開発を実施してきました。しかし、今日においても、なかなか3DCADに対する明確な効果が示されていないのが現状です。

その背景には、3DCADシステムも今では設計ツールとして使用できるレベルにまできたものの、当初は機能不足も多く、思うように設計が進展しなかったという苦い経験があります。またバージョンアップ時には、突然の機能・操作の変更があり、設計者にとって貴重な設計時間の浪費を余儀なくされるケースも多々ありました。

3D図面標準化への取り組み 

JISデジタル製品技術文書情報DTPDを知っておこう

2002年頃から自動車業界と電機・精密機器業界は2D図面から3D図面への移行の一環として、設計成果物を中心とした「3D単独図」を推進する流れがありました。

「3D単独図」は、従来の2D図面上で記載していた設計要件を3Dモデルに記載する取り組みです。しかし、設計データを有効に活用する方法としては効果が期待できず、図面を解釈する上で図面指示としては曖昧な図面であるとの指摘が多かったようです。

しかし、2014年頃より、各工程でデータが活用できるJISデジタル製品技術文書情報DTPD(Digital Technical Product Documentation)の開発に着手し、幾何公差に基づく「三次元製品情報付加モデル」へと進化させてきています。

また、産業界にはJIS、ISO規格以外にも産業界独自のルールも設ける流れがあります。産業界のノウハウを取り入れたガイドラインを作成することで、業務の効率化を図っています。2015年秋にはISO16792をベースに、JIS B 0060-1:2015デジタル製品技術文書情報が新規に制定されました。

この規格は、一般機械、精密機械、電気機械などの工業分野で用いる三次元製品情報付加モデル(3DAモデル)を作成する場合の基本的事項、統括的なデジタル製品技術文書情報(DTPD)とその用語を規定しています。

デジタル製品技術文書情報(DTPD)は、三次元製品情報付加モデルのほか、ものづくりの各工程特有の情報(DMUデータ、解析データ、製造データ、試験データ、品質データ、サービスデータ)と、データ群を管理するDTPD管理情報で構成されています。

各工程に共通するポイントは、三次元製品情報付加モデルに関するそれぞれのデジタルデータを相互に関連付けながら、各工程の責任の下で活用することにあります。3D図面を基本としているが、3DCADの機能不足などもあり、2D図面も併用することが認められています。

本規格の目的は製品をデジタル形式の情報で表現し、従来に比して更に精度よく、明確にすることです。効率的にその情報の作成者と使用者との間で要求事項を明確に伝達させ、その取り扱いの標準を定めるものです。製品の研究開発・生産の各プロセス、更に顧客に関わる全てのプロセスにおいてその情報を活用する目的もあります。

 

JIS B 0060 デジタル製品技術文書情報の規格群の構成は以下の通りです。

・ JIS B 0060-1  第1部:総則

・JIS B 0060-2 第2部:用語

・ JIS B 0060-3 第3部:3DAモデルにおける設計モデルの表し方

・JIS B 0060-4 第4部:3DAモデルにおける表示要求事項の指示方法ー寸法および公差

・JIS B 0060-5 第5部:3DAモデルにおける幾何公差の指示方法

・JIS B 0060-6 第6部:3DAモデルにおける溶接の指示方法

・JIS B 0060-7 第7部:3DAモデルにおける表面性状の指示方法

・JIS B 0060-8 第8部:3DAモデルにおける非表示要求事項の指示方法

・JIS B 0060-9 第9部:DTPD及び3DAモデルにおける一般事項

・JIS B 0060-10 第10部:組立3DAモデルの表し方

 

図面情報の共有方法

現在、図面情報の作成は2D、3Dに関わらず、ほぼCADソフトウェアを利用して作成されています。そして、設計完了後、ものづくりの段階へ進む際に行われる「配布」という行為の段階で情報が2次元化され情報伝達されるのが一般的です。

 

大手自動車メーカーでは設計を3Dで実施しており、協力会社などと3D情報の共有も進んでいます。しかし、現時点では大半の企業は、図面(TIFF・PDF)と指示書・部品表が「正」としてものづくりの指示が行われています。

 

この数年は、DXの流れもあり、紙配布から電子配布に変わってきています。しかし、いまだに元請から部品表のTIFFファイルを受領し、イメージファイルから必要部分を人が手作業で電子化している企業もまだまだ少なくありません。

 

日本のDXの取り組みが外国よりも遅れている理由は、せっかくデジタルに作成したデータをあえてアナログ情報に変えて伝達しているからと思えます

まとめ

「3D設計と3D CADの課題と解決策 DTPDを理解しておこう」と題して、ご紹介してまいりました。現在の設計では、3DCADは、形状作成〜解析など実際にものを作る前までの情報として有効に活用されていると思いますが、ものづくりになる時点で2D図面を作成するデータに変換されます。

 

また、設計で作成した部品の構成情報(e-BOM)も、製造段階ではそのまま使えず、各種BOM(調達BOM、m-BOMなど)にデータを作り直します。設計変更が発生するたびに製造部門で逐次変更作業を実施するなど、設計から製造にうまくデータ連携ができてない部分はまだまだ多く残っています。

 

日本でも3Dデータから3D図面の標準化がどんどん進んでいます。早く3Dデータから製造へそのまま活用できる流れになる時代もそう遠くないところまできていますし、今後AIの導入で更に加速化する流れが生まれてきています。一刻も早い3Dデータ活用と3D図面作成の環境が実現することを期待しています。

 

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