文書管理システムはファイルを取り扱うシステムです。ただ単に入れたり出したりするだけではファイルシステムであっても、文書管理システムとは呼びません。文書管理システムと呼ばれるには間違いなく何かが異なっているはずです。何が違っているのでしょうか?
文書管理システムを利用しようとするユーザーだけでなく、既に文書管理システムを利用しているユーザーも、文書管理システムの言葉の意味を知ってみましょう。文書管理システムとは何なのか、どのような役割をもって、どう使っていけばよいか見つめなおす機会になれば幸いです。そして文書管理と上手に付き合い、使っていけるようなればと願っています。
保存と格納の違いそれぞれの意味
「保存」と「格納」は同じような単語ですが、辞書で調べてみると明らかに異なります。辞書には、「保存」は「そのままの状態を保つようにして、とっておくこと」と記載されています。一方、「格納」は「特定の場所に物を入れること。しかるべき場所に納めること」とあります。
よく見てみると言葉の中の表現に、保存は「とっておくこと」とあり、格納は「納めること」とあります。「とっておく」や「納める」についてさらに辞書で調べてみます。「とっておく」は「いざというときに備えて用意しておく」とあり、「納める」とは「しまう、かたづける」や、「取って自分のものにする」、「その動作をして終わりとする」などが出てきます。
英語だと具体的になるような気がしたので翻訳してみました。英語では「保存」は「save」や「keep」、「格納」は「put」や「store」となります。日本語では同じような意味でも英語ではニュアンスが異なることがわかってきます。
保存と格納の違いは難しいニュアンスですが、整理してみるとこのように言えるのではないでしょうか?
保存とは、動作を含んで時間の概念をもつ言葉で時間は過去も未来も含んでいますが、空間的な要素はどちらかというと薄い印象があります。格納は、何をどこへという物(対象)と空間を表す意味合いが強く、物の大きさについてはさまざまな印象があります。だれがいつという時間はそれほど強く意識されない言葉ですね。でも、お互いに補完しあう関係にある言葉だと思います。
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ファイルの場合の保存と格納
そもそも文書管理システムがテーマなのですが、どうやらここからは、大きく逸脱・脱線しマイワールドに突入してしまいそうなので、あらかじめ先に断っておきます。従って、内容や表現をどのようにとらえるか皆様のご判断にゆだねたいと思います。
では、主語を「ファイル」にしてみたいと思います。言葉を「ファイルを格納する」、「ファイルを保存する」というふうに変えて考察してみたいと思います。
まず、「ファイルを格納する」についてです。格納するという言葉はファイルを入れる場所が決まっている専用の入れ物のイメージで、英語で「storage」だと、ハードディスクになると思います。クラウドストレージの場合は、入れ物の大きさが不明ですが、クラウドという場所の箱を指していると思います。
大きさこそ違っていても、何らか専用の箱があってそこに入れるということが「格納」ではないでしょうか。専用のフォルダを準備してそこにいれるというのも格納だと思います。ファイルの名前とかははっきりしないけど、ファイルの種類や分類は決まっている感じです。そして、入れている箱はどこにあるのかわかっているのも格納の言葉の性格だと思います。
それに対して、「保存」は、現状の状態を維持してどこかに入れておいて、後で取り出しできるようにしているイメージです。その場合はおそらくファイル名に命名規則をつけておき、対象のものが特定できるようにしておく必要がありますね。もしファイル名で特定できなくても、何らかの属性をたよりにして取り出しができる状態であってもよいと思います。
ファイルの種類が別々で混在している器に入っていてもよいと思います。そして、英語の「keep」という言葉から、時間的な要素も含まれており、過去に作成されたファイルを、作成されたときの状態を維持しているということもニュアンスとしてあります。同じファイル名や同じ属性のものがあったとしても、「いつ」作成のファイルであるかの履歴で分類できるようになっている必要もあろうかと思います。
文書管理システムの保存と格納
文書管理システムには、文書管理システムそのものが、「格納庫」であり、キャビネットやフォルダなどの箱が存在します。文書管理システムそのものが箱ですので、文書管理システム自身に入れるということが「ファイルを格納する」という意味であるといえます。
格納するファイルをファイル名や属性を付けておけば、あとからファイルを当時のままで簡単に取り出しできるようにすることが文書管理システムに備わっています。これが「ファイルを保存する」という意味であるといえます。
まとめ
「文書管理されるファイルは保存?格納?違いや意味を理解してみよう」と題して、ご紹介してまいりました。文書管理システムは、「ファイルの格納」ができ、「ファイルの保存」ができるものであることがお判りいただけたかと思います。「保存」、「格納」の言葉以外にも文書管理システムにはファイルを取り扱う言葉が数多く存在します。言葉の意味を知ることで、さらに文書管理システムでファイルを上手に管理できるようになるでしょう。
文書管理システムは、何十年もの歴史がある古いシステムですが、本質的な「格納」、「保存」を軸にして、ますます使いやすく発展しています。昨今、AIが身近になってきており文書管理システムも大きく変革していくことは間違いないと思います。未来ではどんな文書管理システムになっているでしょうか、楽しみです。
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