ファイルサーバや個人のPCで文書を管理している人も、文書の版管理(バージョン管理)は実施されていると思います。例えば、文書を修正するたびにファイル名にバージョン番号を付与したり、更新した日付を付与したりして個別に管理をしているのではないでしょうか。
しかし、ファイル名を変更し忘れて上書き保存してしまったことはありませんか? 上書き保存してしまうと電子ファイルは元に戻らないため修正履歴が歯抜けになってしまいます。このような人力での版管理はミスも多く正確な版管理とは言えません。それでは、どのようなバージョン管理方法があって、どのように運用するのかを解説致します。
版管理とバージョン管理の違いとは?
版管理とバージョン管理は、同じ言葉のように見えますが少し意味が異なります。版管理とは、ファイルの変更履歴を記録・管理することです。具体的には、「ファイルの内容」「変更日時」「変更者」「変更内容」のような情報を管理します。
一方、バージョン管理はバージョン管理ツールと呼ばれる専用ツールを導入して行うのが一般的です。バージョン管理とは、システム全体の変更履歴を管理することです。ソフトウェア開発において、ソースコードや設定ファイル、ドキュメントなどの変更履歴を管理するために使用されます。
つまり、版管理はファイルや文書の変更履歴を管理し、ファイル共有や変更履歴の追跡などに使用できます。バージョン管理は、システム全体の変更履歴を管理し、ソフトウェア開発で使用されることが多いと言えます。しかし、ファイルや文書の変更履歴を管理するケースでもバージョンやバージョン管理とも呼びますので、本記事では両方の呼称で記載いたします。
文書管理の版管理 必要性
文書管理の中で版管理は欠かせない機能になります。紙で保管している場合、古い版を廃棄せずに最新版がどれか分からなくなることも少なくありません。それでは、単に履歴が残ればいいのでしょうか。例えば、物を製造するための設計図があったとします。設計図に基づいて製品を製造するので、もし設計図が間違っていたら製造した製品すべてが無駄になってしまいます。
このような間違いがないように、最新版を常に、確実に、管理する必要があります。ファイルサーバの中で、ファイル名に日付を付けて保存したりバージョン番号を付けて保存したりするだけで確実に最新版と判断がつくでしょうか。
もしかすると、保存するフォルダを間違えて異なるフォルダに保存してしまった可能性はありませんか?または個人のPCで修正しただけでファイルサーバに保存していない可能性はありませんか?どこに保存されたファイルが最新でしょうか。ファイルサーバでファイルを管理するのであれば、少なくとも社内ルールとしてファイルの保管場所及びファイル名称の付け方を決めておく必要があります。
このように、人頼みで最新版を管理することは、製造時に古い版を使用したことに対するリスクを考えてもあまり有効とは言えないでしょう。
文書管理の版管理 機能
それでは、版管理にはどのような機能が必要なのかを考えてみましょう。
1. 以前の状態に戻すことができる。
・過去の版が必要になることがあり、特定の版に戻すことができる。
2. 変更履歴を確認することができる。
・ 現在の版がなぜこの内容になったのか、変更履歴を辿ることができる。
3. 修正者と修正理由を知ることができる。
・ 誰がどんな理由で修正したのかが記載されていれば、
どの版の文書を流用するか判断しやすく、修正者に相談することもできる。
4. 旧版の検索機能
・ 最新版だけでなく、旧版に関しても検索ができる。
・ 検索キーワードが版ごとに設定されている。
この版管理をもしシステムが自動的に行ってくれたらどうでしょうか。
ファイル名を変更することなく、同じファイル名のまま登録するだけで自動的に版数をあげて登録できるのです。人力に頼るとどうしてもミスが発生してしますが、このように自動で版管理ができると非常に楽になると思いませんか。
また、文書管理システムに登録されているファイルを修正すると修正前のファイルも残したまま修正後のファイルも登録されると尚良いですよね。
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文書管理の版管理 運用方法
例えば「本社工場設計書」という書類があったとします。
人力で運用すると以下のようになります。
・本社工場設計書.docx
・本社工場設計書_OLD. docx
・本社工場設計書_部長確認済. docx
・本社工場設計書_最新版. docx
・本社工場設計書_20210930. docx
・本社工場設計書_提出用. docx
上記のファイル名を見てどう思われましたか?どのファイルが最新なのか判断ができませんよね。
それでは以下のファイル名ではどうでしょう。(左側がファイル名で右側はそのバージョン)
・本社工場設計書. docx Ver.1.01
・本社工場設計書. docx Ver.1.02
・本社工場設計書. docx Ver.1.03
・本社工場設計書. docx Ver.1.04
・本社工場設計書. docx Ver.1.05
・本社工場設計書. docx Ver.1.06
ファイル名を同じにして、ファイル名+バージョン情報で表示し管理をすることで最新版が分かり易くなりますよね。ただし、ファイルサーバでの管理は1つのフォルダ内に複数の同名ファイルは登録ができません。そのため、文書管理システムでの運用が必要になります。
また、過去のバージョンのファイルに対して内容の修正ができる必要はありません。過去のファイルが書き換えられたり削除されたりすると変更履歴が確認できないですし、その時のバージョンがどのような内容だったかが分からなくなります。
このように、最新バージョン以外のファイルについては修正・削除が出来ないような機能も必要になります。
次にバージョンについてのルールは以下のように統一した方が望ましいです。
1. バージョン番号は常に連番とし、欠番を出させない。
※欠番があると、わざと欠番にしているのか抜けているのがわからなります。
2. バージョン番号は数字にする。
※数字以外のアルファベット等は有限になりますので、バージョン番号には不向きです。
文書管理・ドキュメント版管理 まとめ
フォルダ内に似た名称のファイルが大量に存在すると、どれが最新版のファイルか分からなくなることがあります。
その時に一か八かで最新版のファイルを選択する事は出来ません。最新版ではないファイルを選択してしまうリスクを考えると、確実に最新版のファイルにアクセスが出来る機能が必要になります。また、過去の版に対しても閲覧や検索は可能にし、修正や削除は不可能にする機能が必要になります。
社内の文書管理やドキュメント版管理、ドキュメントバージョン管理ツールに関するルールの一つとして、バージョンに関するルールもしっかりと決めておきましょう。これらの機能が備わった文書管理システムを活用する事で、バージョン管理に関する悩みが消えるでしょう。
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