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電子帳簿保存法とe-文書法の違いとは?素朴な疑問にわかりやすく解説

2022年に入り「電子帳簿保存法」のセミナー・メールが日々飛び交っています。この理由は電子帳簿保存法で電子取引データの保存が義務化されたことに起因しています。しかし、過去にも「e-文書法」で電子データ保存は認められていました。この違いは何なのでしょうか?本記事では「e-文書法」と「電子帳簿保存法」は何が違うか、みなさんの素朴な疑問にわかりやすく解説します。

電子帳簿保存法とe-文書法ってズバリ何が違うの?

過去、業務文書の中には、紙による原本保管を義務化されている文書が多数ありました。皆さんよくご存知なものとしては、「契約書」や「領収書」などがそれにあたります。
この紙での保管を電子データで保管して良いという法律が、2005年4月より施行された「e-文書法」です。

「e-文書法」は、通則法(正式名:民間事業者等が行う書面の保管等における情報通信の技術の利用に関わる法律)と整備法(正式名:民間事業者等が行う書面の保管等における情報通信の技術の利用に関わる法律の施行に伴う関係法律の整備等に関わる法律)の2つの総称です。

正式名称は長いですが、簡単にいうと「通則法」は、紙文書の保存義務について電子保管を国が容認した約250本の法律になります。「通則法」のみでは手当が完全でないため約70本の個別法の規定を整備したものが「整備法」になります。

「整備法」の中で整備するのが難しい「税」に関わる規定を、さらに整備したものが「電子帳簿保存法」となります。

今、なぜ電子帳簿保存法が注目されているのか?

電子帳簿保存法が施行された時点では、紙文書の電子データ保存が容認されたものの、運用ルールや事務処理規定が厳しすぎました。よって、実際に電子データとして保存する企業は殆どいませんでした。

そこで電子帳簿保存法は、何度も規制緩和が行われてきました。今回の2022年1月1日では大きく4つの改正が行われましたが、このうち3項目は以前の紙文書保管を電子保管するルール(スキャナー保存)の規制緩和処置です。

残り1つの法改正が今回最も重要な注目ポイントで、「文書を電子データとして入手したもの」に対する保管ルールが義務化された点にあります。これまでのe-文書法、電子帳簿保存法の制定、改正はペーパーレス化を進めるための緩和処置であり、義務ではありませんでした。

今回の電子データ保存ルールの義務化は、企業規模(大手・中小企業・民間・官公庁)に関わらず全ての企業が実施する必要があり、ルールが守られていないと罰則もあることも注目されているポイントになります。

電子データ保存の義務化の内容は大まかに以下のようになります
電子データの対象文書】
今回、電子データ保存義務化の対象となった文書は以下のとおりです。
・電子メールにより受領した請求書や領収書等のデータ
・電子メール本⽂に取引情報が記載されている電子メール(取引情報のないメールは対象外)
・インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ
・ホームページ上で表示された請求書や領収書等のスクリーンショット
・クラウドサービスを利用した電子請求書や電子領収書の授受データ
・クレジットカードの利用明細データ、交通系カードによる支払データ
・クラウドサービスを利用したスマートフォンアプリによる決済データ等
・特定の取引に係るEDIシステムを利用した取引データ
・FAX機能を持つ複合機を利用して授受したデータ
・DVD等の記録媒体を介して受領した請求書や領収書等のデータ

【電子データ保存の必須要件】
電子データ保存では、以下の3つの必須要件と、4項目のうち1つの要件を満たす必須要件があります。

【必須要件】
①関係書類の備え付け:概要書やマニュアルを備え付ける
②見読性の確保:ディスプレイやプリンタでいつでも出⼒できる
③検索機能の確保:日付・金額・取引先の3項目で検索できる

【追加要件(どれか一つ)】
①送信者側のタイムスタンプ付データを受信者側は検証機能が必要
②取引情報の授受後、約2か月以内にタイムスタンプを付与・保存担当者情報が確認できること
③訂正削除できない(⼜は訂正削除履歴が保存)システムでデータを授受及び保存すること
④正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理規程を備付け・運用すること

電子取引文書で企業が今、やらなければならないこと

電子取引文書で企業が今、やらなければならないことは「文書の棚卸」です。各企業は社内の文書に対する棚卸が必要で、大まかには以下の流れの作業になります。

【電子取引文書で企業が今、やらなければならないこと】
・社内に存在するすべての文書に対して一覧表を作成し、
 それぞれの文書に関する入手ルートを洗い出します。
・入手ルートが「紙」なのか「電子データ」なのかを確認し、
 「電子データ」で入手しているものが今回の義務化対象文書となります。
・すべての電子データ文書に関して、現在どのように保管しているかを洗い出すと共に、
 どのように保管する流れにするかのルールを決める必要があります。
法的に社内規定を作成する義務はありませんが、コンプライアンス的には社内ルール規定を作るべきと考えます。
また、規定をルール通り運用できているか、チェックする方法なども決める必要があります。

このような文書の棚卸をぜひ実践してみましょう。そして文書の社内規定やルールが整備できたら、次はペーパーレス化を目指していきましょう。

電子化文書とペーパーレス化

先に述べた通り、今回の電子取引データの管理義務化はある程度システムを利用することで効果があることを国も提唱しています。電子データですからコンピュター運用が前提となり、義務化項目のうち、見読性や検索性などはシステム利用を考慮した内容になっています。国もシステムで管理しろとは言えませんが、システムを導入することで業務改善効果があるため、ペーパーレス化を推進しています。

また、電子文書をシステムで管理する仕組みが構築できた際には、従来紙で保存していた文書の電子保管も次ステップとして実施してみてはいかがでしょうか。電子帳簿保存法も何度かの規制緩和を行ってきているので、ペーパーレス化が簡単にできるようになってきています。

せっかく電子文書を保管する仕組みができたのですから、システムを導入し管理することで、「電子文書×システム」のメリットを最大化できるはずです。

まとめ

今回の電子データ保存は、すべての企業への義務化ということもあり、2年間の猶予期間があります。しかし業務分析と新ルールの制定、運用環境の整備等やることは山積みで早期に検討していく必要があります。

今回の義務化には、現在お客様でご利用されている図面管理システムや、文書管理システムを活用することにより低コストで対応できます。

まずは現在の業務を速やかに分析し、運用ルールを決め、2024年1月にはすべての社内文書に対して問題なく新ルールで運用開始できるよう準備していくことも大事です。ただ、せっかく取り組むのであれば業務の棚卸しをしっかりと行い、業務改善やペーパーレス化の実現も視野に検討されてはいかがでしょうか。

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