システム・ツールブログ

PDMと連携した電子配布システム 導入事例をご紹介

技術資料の配布業務を紙運用から電子運用に切替えたお客様事例を紹介いたします。
お客様は、電子部品メーカー様で、国内シェアNO1の実績をお持ちです。
技術文書を関係部門へ配布する業務を電子運用に切替え、製品リードタイムの短縮・製造ミスの大幅削減、品質向上を実現しました。PDMと電子配付システムを連携させることで、お客様の課題をどのように解決したのか解説いたします。

システム導入前の状況と課題

お客様のシステム導入前の状況と課題をご紹介します

【事例概要】

  • 担当部門:技術管理部
  • 要望事項:技術文書の配布業務改善

【業務背景】

 技術管理部は、以下の業務を取りまとめる役割を担っていた
  • 設計業務の規定や運用ルールの策定・維持管理
  • 他部署(企画・営業・製造・品管)からの依頼を設計部門へ伝達・指示する役割
  • 設計部門の成果物を関連部門(社内・社外・海外)へ伝える役割

【業務状況】

  • 設計部門により作成される成果物(仕様書、図面、部品表など)は、紙に印刷して関係部門へ配布していた
  • 配布先は社内(生産技術部、製造部、品質保証部、営業部など)だけでなく、社外(協力企業、お客様)や海外工場など多岐に渡る
  • 印刷枚数はA1~A4サイズで週3,000枚以上あり、A3以上は紙折りする必要がある
  • ISO9001(国際標準化機構による品質マネジメントシステムに関する規格)の運用ルールより、配布資料に対して「出図印」の押印、「配布履歴」と「受領確認」の管理が決められている
  • 資料の改訂が発生した場合、旧版資料は技術管理部が回収して廃棄する必要がある

【業務の課題】

  • 情報の伝達手段として紙を利用している為、出図・配布業務の人件費・経費(印刷・配布準備に関わる作業の人件費、印刷コスト、保管スペースなど)が膨大に掛かっていた
  • 配布資料の内容(新規か既存か、資料に含まれる情報)により配布部署が異なる。この為、出図・配布ルートが複雑化し、誤配布事故が度々発生していた
  • 配布ミスによる情報漏洩リスクが高まりつつあった
  • 配布資料を受け取る部門も配布された資料の保管、旧版資料の返却対応を行う必要がある
  • 海外への資料配布はセキュリティの都合上、セキュア便を使って郵送していた
  • 出図リードタイムが増える事で、製品のトータルリードタイムが長くなる要因となっていた

【設計図書管理の課題】

 設計図書の保管は、以下の仕組みを利用して管理していた
  • PDMシステム:CADデータ(機械図面:2D・3D、回路図面)
  • BOMシステム:E-BOM(設計BOM)、P-BOM(購買BOM)、M-BOM(製造BOM)
  • ファイルサーバ:依頼書・指示書・通知書、その他資料(Microsoft Officeファイル)
  • 図庫(保管庫):承認された紙原図の保管、キングファイル(配布表、受領書)

上記のように、資料の保管場所が色々な仕組み上に点在しており、必要な情報を確認する作業に時間を要していた
また、一部の資料は紙保管であった為、資料を検索することができない問題もあった
このような数多くの設計図書管理の課題を抱えていた

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PDM連携の電子配布システム導入による要望事項

上記の問題点解決のため、PDMと連携した電子配布システムを検討する事になった
導入前の要望事項は以下のとおり

【図面出図業務の改善】

  • 複合機の紙折機を利用した紙折作業の自動化
  • 帳合機能による配布作業の効率化
  • 依頼元のお客様によって紙折方法が異なる点への対応
  • 出図印を押印する作業の自動化

【図面配布業務の改善】

  • 電子配布の仕組みを導入することによるペーパーレス化
  • 電子書庫の実現(試作・量産を含めた履歴・最新版管理機能を含む)
  • 旧図面の有効活用による作業効率化と品質の向上
  • ISO9001対応
  • ISO14001(環境マネジメントシステムに関する国際規格)対応
  • 海外拠点への図面配布コスト(紙・郵送コスト)の削減
  • システムの多言語対応(中国、米国に工場あり)

図面出図業務と図面配布業務の改善にスポットを当て、PDM連携の電子配布システムのステップ導入に至った

ステップ導入で進めたからこそ、実現できたこと

ステップ導入によるシステム化

電子配布システムの仕組みを構築する際、一度に環境を構築せず、費用対効果を考慮しながらステップ導入により短期間で最大限の効果を出す導入方式を取った

【1stステップ:図面管理システムを利用した出図業務の自動化】

  • 配布依頼書作成機能をシステム化
  • 紙配布の資料をスキャンして電子化(電子化ファイル)
  • 出図依頼書と電子化ファイルを紐つけて図面管理システムへ登録
  • 図面管理システムから出図依頼書の指示内容に則り一括印刷を実現
    (紙折・帳合・スタンプ合成機能は、全てシステムにて自動化運用を実現)

【2ndステップ:電子配布システムの構築】

  • PDMシステム(CAD)から出力した図面ファイルを、図面管理システムが受け取り自動登録
  • 図面管理システムにて出図依頼兼図面承認依頼を行い、ワークフロー機能にて電子承認する
    (出図依頼書の作成機能を流用して開発を行った)
  • ワークフローにて承認後、配布資料へスタンプ・透かしを合成した配布用ファイルを自動作成し、配布データベースへ登録
  • 配布データベースへ登録された配布資料を出図依頼書の内容に則り自動配布を行う
    → 紙配布:1stステップで構築した自動印刷が実行される
    → 電子配布:メール通知にて関係部署へ通知され、受領確認を行う

ステップ導入で進めたことから、PDM連携の電子配布システムで実現できることが段階的に増えていった

システム導入の効果

システム導入により、次のような効果を実現した

【導入効果】

  • 電子書庫による情報共有を実現し、作業効率化と製造ミスがなくなった
  • 自動配布による印刷業務改善(コスト、時間短縮)
  • 電子配布の実現:100%電子図面配布を実現+マルチモニタ利用により紙出図を60%削減
  • 配布スピードが劇的に改善(1日→数分)
  • 情報共有環境の実現:版管理を確実に行い、旧版比較も可能になった
  • 情報の伝達ミス+製造ミスが激減した
    (図面改訂後に関係者へ通知し、それを受けた関係者はシステムの最新版情報を閲覧・参照することで間違いのない最新図面の共有を実現した)
  • ISO9001対応:最新図面の版管理と出図・配布履歴管理を実現
  • ISO14001対応:電子配布化により、出力枚数が約70%削減できた
  • 海外工場との情報共有化
  • 海外(特に中国)との情報共有、配布業務改善へ拡大
  • 通信環境に伴う通信切断等の対応

まとめ

「PDMと連携した電子配布システム 導入事例をご紹介」と題して、ご紹介してまいりました。
本事例を実現するために、図面管理システムが標準として以下の機能を有していたことで、システム構築費用を大幅に縮小することができました。

【PDMと連携した電子配布システム 総括】

  • レンディション管理:作成元ファイルと承認ファイルの一元管理
  • 親子ドキュメント:関連するファイルのセット管理機能
  • ビューア:ファイルをいちいち開かず、触るだけですぐに内容の閲覧・確認ができる機能
  • 閲覧権限によるアクセスコントロール:印刷禁止・ダウンロード禁止の運用を実現
  • 多言語対応(日本語・英語・中国語)
  • リンク:別フォルダにあるファイルとの関連情報管理
  • ステータス管理(仕掛管理):作成中から承認中・承認後の公開制御
  • 版管理:旧版と最新版の管理
  • 入出力機器との連携
  • APIを利用したカスタマイズへの対応

上記機能にご興味がある方は、是非お気軽に弊社へご相談ください。

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