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生産管理に文書管理が連携するメリット 製造業の帳票から考えてみよう

製造業にとって、生産管理はモノづくりの基本であり、生産管理をいかにうまく運用するかが売上の増加に繋がり、他社との競争力を強化することに直結します。生産管理とはどういったものか、どのような管理が必要なのかを紐解き、生産管理を強化するために何をしないといけないのかを解説します。製造業の帳票から考えると、生産管理と文書管理が連携するメリットが見えてきます。

生産管理とは?

モノづくりは、原材料を投入し、設備や人手を使って製品に仕上げる行為を言います。工場では、たくさんの人が働いています。たくさんの設備があり、さまざまな原材料・部品が管理されています。納入業者や出荷先もたくさんあります。多くの関係する要素を上手に動かし、関係者と上手に調整しないと「モノづくり」は混乱してしまいます。

工場では、出荷の納期が決められ、生産順序が計算され、納品が指示されます。使うべき施設が選択され、作業者に指示が飛びます。部品が運ばれ、加工・組立てが行われ、完成品が検査されます。一糸乱れぬ「モノづくり」の流れを作り上げるには、相当な努力が必要です。

行き当たりばったりでは、いつ必要なものが出来上がるのか分かりません。混乱を極めコストが上がり、品質が低下するかもしれません。これではまともな「モノづくり」はできません。

「モノづくり」では多くの関係者と調整し、計画し、指示をして進捗を把握する全体管理の仕組みを必要とします。計画、指示、実行統制、進捗と実績の把握を行い、管理のサイクルを回していくことが生産管理なのです。

生産の基礎となるさまざまな管理

生産管理には、さまざまな管理があります。いくつかご紹介していきましょう。

○品質管理
品質管理というと、統計的品質管理を思い浮かべる方が多いと思います。品質管理とは、一定の品質基準を満たすように「抜取り検査」や「全数検査」を行い、計測し不良品を出さないようにすることです。
しかし、全数検査は検査の手間が掛かりすぎますし、抜取り検査は不良品がチェックの網を通り抜けることがあります。ここで日本の製造現場を強く支えてきた方法がQC活動です。QC活動では、品質基準を設け、現状の品質状態を統計的に把握します。問題が発生している工程や部材の改善を検討して、品質改善のPDCAを回して品質向上を目指します。

○工程管理
工程管理は狭義の生産管理とも言われます。工程管理は、各工程の作業計画を作成し、生産指示、実績収集と進捗管理を行い、実績評価をする一連の計画、実行指示、統制、評価の管理サイクルを回します。
工程管理が悪いと生産管理が成り立たないほど重要です。工程管理で重要なのは、効率的な作業計画を立案することです。非効率な作業計画を立ててしまうと、作業者が手待ちになって遊んだり、納期遅れが生じたりします。作業指示も正確に行う必要があります。
もう一つ重要なことは、実績管理と進捗管理です。予定通りにできていないのに、できたものと思い込んでいると欠品を生みます。反対に生産実績の計上が遅いと、余計な追加生産指示を出しかねません。よって、計画と生産実施の確実な統制と短サイクルでの進捗把握が必須です。

○購買管理
購買管理の主な内容は、外部から購入する納品物の品質管理、原価管理、納期管理です。品質管理は納品物の全数が良品になるように外注業者や供給業者を管理、指導する必要があります。
原価管理は、コストダウンが重要です。原価に占める外部調達品の割合は年々増加傾向にあるため、購買管理における原価低減は大きなテーマです。外注業者や供給業者と一緒になってコストダウンを行うことが重要です。
購買部門の日常業務のほとんどが納期管理と言っても過言ではありません。具体的には、納期調整と納期催促です。納期調整は、自社の生産計画に伴い、納入を前倒し・後ろ倒しにしてもらう交渉が中心ですが、外注業者・供給業者の生産遅れによる調整もあります。一度納入遅延が起きると納期催促の仕事になります。納期厳守が計画通りの安定した生産実現の鍵を握っています。

○物流管理
生産管理の流れの一つが「モノの流れ」で、それを管理するのが物流管理です。物流管理には、工場内のモノの流れを管理する「工場内物流管理」と「工場外物流管理」があります。
さらに工場外物流管理には、大きく分けて3つあります。
・調達物流管理は、原材料、部品を調達する際の物流です。
・販売物流管理は、工場から営業倉庫、その先の顧客への配送を担う部分で、改善の余地が大きい分野です。
・回収物流管理は、一度出荷した製品を回収してリサイクルし、危険物として出荷側が処理することです。医療機器の処理具や、コピー機のトナーカートリッジ等が有名です。

○現品管理
現品管理の基本は、「あるべきものがあるべき場所にあるべき状態である」ようにしておき、すぐ利用できることです。
仕掛品は仕掛品が置くべき場所にあり、台帳管理された通りの数量で置かれているべきです。不良品は不良品置き場に置かれ、「もの」がなくなる=無くなった「もの」を探す行為に時間を掛ける事はムダにつながります。
よく「在庫が合わない」と言う言葉を耳にします。この意味は台帳やシステムに登録されている在庫と数量が相違していたり、違う品番の在庫が存在したり、良品・不良品の状態が違ったりすることです。
製造業では、会計上、台帳に登録された在庫情報と現品が合致する必要があり、これを調べるのが棚卸しと言います。例えば、銀行のように1円の差でもあれば0円になるまで調査・見直しを行うように、棚卸しで数量が異なった場合はすべて辻褄が合うまで確認が必要です。よって膨大な作業時間が発生することがあります。

○安全管理
日本の工場は長い間、「安全第一」を掲げてきました。事故が発生すると生産がストップすることになり、生産計画に対して大きなロスを生みます。
日本では、安全衛生管理の徹底が義務付けられています。作業を行う際に、作業者の安全性を確保し、働きやすい服装や防護具を義務付け、作業場の安全を管理します。
また安全管理だけでなく、健康管理も重要です。定期検診は当然の行為として、作業者が健康的に仕事を遂行できる状態を維持することも重要です。熱中症対策など日常的な健康管理も大事です。

○チーム管理とスキル管理
モノ作りは人が主役です。モノづくりの仕事はチームプレイで行われ、お互いに貢献し合って成り立っています。チームとしてお互いに助け合い、教え合い、ときに厳しく批判しあうことで成長し、素晴らしい仕事を成し遂げられます。
またスキル管理も重要で、スキルが上がらないとよい物作りができないからです。作業者のスキルを明らかにすると共に、研修によってスキルアップして、より高品質なモノづくりにチャレンジできる体制を築くことが重要です。

○作業管理
モノづくりは、時間との勝負でもあります。作業者にしても、設備にしても、可能な限り効率化し、非付加価値時間を無くすことが求められます。
総就業時間のうち、非付加価値時間(物を探す、運ぶ、移動する、作業がなく手待ちが起きるなど)を減らした付加価値時間に対して、作業を改善することで作業ロスを減らします。出来高時間をいかに確保できるかが作業管理の重要な内容です。

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生産を管理する組織の仕組み

生産管理は、製造のトップである工場長がその責任を持っています。しかし企業規模が拡大し、生産も高度化、複雑化していく中で工場長一人だけで工場を運営することは困難を極めます。そこで工場長の仕事を分担して受け持つ生産管理部が作られます。

生産管理部は、生産管理を立案し、資材調達の計画を立てたり、製造指示書を発行して製造指示をしたりします。製造現場の催促や調整、営業組織と納期調整や単価の調整を行います。

生産管理部は、製造の司令塔として工場内のさまざまな組織と連携して仕事を進めます。原材料・部品の調達を購買部に指示し、在庫報告や納入実績報告を受けます。品質管理部と連携し、品質情報を入手し、会計部から原価実績の報告を受けるなど多岐に渡ります。

生産管理で発生するさまざまな帳票

生産情報は、指示書や以下のような様々な帳票を用いて情報の伝達・共有を行います。ここで、生産管理で発生するさまざまな帳票を整理してみましょう。

生産管理で発生する帳票

  • 生産計画に関わる帳票:製品のスタートプランを検討する元データ
  • 調達計画に関わる帳票:部品・原材料の調達計画に使用する帳票
  • 売上計画および売上達成率:注文に対する売上計画及び売上達成率を帳票化したもの
  • 売上に関係する帳票:販売実績リスト
  • 納期リスト:顧客の要求納期に対する納期実績、販売・出荷データより作成
  • 生産能力に関わる帳票:設定した生産能力、余った生産能力、使用した生産能力データ
  • 出荷計画達成率:出荷予定日をもとに今後の納期達成率を予測する帳票
  • 顧客要求納期・約束納期:生産能力の制限により要求納期と約束納期の比較帳票
  • アベイラビリティ:注文に対して在庫がどのくらい満足しているかの満足度を表した帳票
  • 生産計画に関わる帳票
  • 在庫管理に関わる帳票:月別工場別の製品、部品・原材料の在庫数量、金額
  • 余剰在庫リスト:余剰在庫のデータをリスト化したもの
  • 顧客別リードタイムリスト:受注日〜要求納期までのリードタイムをリスト化したもの
  • 製造サイクルタイムリスト:製品別の製造サイクルタイム実績リスト、工程管理から抽出
  • 歩留まりリスト:製品の歩留まりデータ。生産計画の立案に利用
  • 部品・原材料の利用リスト:部品・原材料の実績リスト、部品・原材料マスターに利用

生産管理に文書管理が連携するメリット 総括

生産管理は生産管理部が出す製造指示書から始まり、さまざまな部署が作成する管理文書、報告文書が組織を横断していきます。

さらに、報告文書は発行する瞬間の情報のため、日々進捗するタイミングによって常に最新情報を共有する必要があります。

しかし、多種多様な文書の版管理を紙やファイルサーバによるフォルダ管理で行うには限界があります。ここで、版管理を得意とする文書管理システムが情報の一元管理に役立ちます。

検索・版管理機能により、文書の比較や状況が瞬時に把握でき、正確に確認・共有することが可能です。

また、生産情報だけでなく、企画・設計資料と連携することでさらに情報共有の幅が広がります。 生産管理を間違いなく正確に情報共有するツールとして、ぜひ文書管理との連携を考えてみてはいかがでしょうか。製造業様向けに次のような資料をご用意しております。お役立てください。

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