文書管理は主に企業活動において扱われるさまざまな文書を保管・利用・共有するために行われます。通常、文書管理にはファイルサーバが使われるケースが多いのですが、本格的に文書管理を行おうとすると専用のシステム(文書管理システム)を導入して運用する方式が一般的です。ファイルサーバも文書管理システムも同様で、管理する文書を1箇所に集中して保管し、アクセスするためにサーバを立てて管理する方式になっています。サーバは文書管理システムには欠かせないものですが、それぞれ分類・役割があり、向き不向きもあります。文書管理に利用するサーバはどのようなものか、また、文書管理に使う図面サーバとはいったい何なのかについて解説します。
サーバの種類についておさらい
最初に、サーバの種類についておさらいしてみましょう。
サーバはいくつかの役割によって以下のように分類することができます。
【サーバの種類】
- ファイルサーバ
ファイルそのもの(Officeファイルやテキストファイル、図面ファイル)を管理するサーバのことです 。
※一般的に呼ばれている「ファイルサーバでの管理」はOS上でこのサーバのみで管理していることを指します。 - Web/アプリケーションサーバ
ファイルを出し入れするための処理や、ユーザとのやりとりに利用するサーバのことです。ユーザが文書を出し入れする操作のインターフェースをつかさどります。 - データ(ベース)サーバ
ファイルにかかわる属性などを管理するサーバのことです。
ファイルの場所や、検索や出し入れなどをするための情報が保管されます。
文書管理で使う図面サーバとはどんなもの?
「図面サーバ」とはいったいどういうものでしょう。言葉通り、図面管理をするサーバ?・・・その通りです。文書管理になぜ図面サーバなのでしょうか。そもそも文書と図面は違うし管理も違うはずですよね。
では、文書と図面がどのように違うのか確認してみようと思います。
- 文書
参照されることを前提として記録される情報で、紙に文字で記録されたもの、あるいはメディアに電子的・磁気的に記録されてpdf、Wordなどのファイル単位で扱われるものを指します。 - 図面
何らかの機能や構造、配置を描いた図で、多くは、電気・電子機器、機械や土木建築物の設計結果を記した設計図です。一般的に紙に描画もしくは印刷されるもの、また、ファイル単位で扱われるものを指します。
少々乱暴なまとめ方をしてみると、文書も図面も「紙」、または「ファイル」単位で扱われるものを指していることは共通で、記録される中身が違うだけのようです。文書管理も図面管理もファイルを扱うものと捉えれば、ほぼ同じ管理でよさそうです。
違いがあるとするならば、私見ではありますが、紙に出力した文書と図面を比較した場合、文書は一般サイズでカラー、複数ページのものが多い傾向があり、図面は大判サイズで単色単ページものが多く、ファイルサイズは図面のほうが文書よりも大きい傾向にあります。ですので、文書と図面ではサーバに要求される性能もおのずと図面を扱うサーバのほうが高くなるはずです。
しかし、傾向によって要求される性能こそ違いますが、ファイルを扱うという点では文書を管理するサーバと図面を管理するサーバは共通と考えてもよさそうです。本ブログでは、文書管理の「サーバ」を以降「図面サーバ」と表記することとします。
文書管理で図面サーバがあることのメリット
文書をファイルサーバで管理する方法の他に、文書管理システムによる管理が一般的です。文書管理システムは前述のようにそれぞれの役割を持った図面サーバがあり、それぞれ分担して処理をすることで検索やファイルのバージョン管理などが快適に操作できるようになっています。では、図面サーバがあることによってどのようなメリットがあるのでしょうか。
【図面サーバのメリット】
- バージョン管理ができる
- 属性の付与により、ファイル名だけでなく切り口の違う多彩な検索ができる
- 細かなセキュリティ・アクセスの管理ができる
- 操作履歴の取得、ファイルの盗難・誤操作による喪失を防止できる
- 遠隔地とデータの共有ができる
- 保存期限の管理ができる
もちろん、デメリットもあります。
【図面サーバのデメリット】
- 導入に費用がかかる
- 設定に手間がかかる
- 運用における管理が必要
また、他システムと図面サーバを連携することによってさらにメリットを享受できるように追加、カスタムできるシステムも多くあります。
文書管理において図面サーバ導入時に注意すること
文書管理に使用する図面サーバは、企業でどのように使うかによって必要な項目が変わってきますので一概にはいえませんが、一般的に文書管理システムを導入するときに確認しておかなければならないことがあります。
【文書管理と図面サーバ導入時の確認事項】
- ライフサイクル
文書管理システムをどのくらい使い続けるのかをハードウェアと併せてあらかじめ計画しておく必要があります。そうしなければ保存するファイルが増加することで調達したファイルサーバの増設が必要になり、ハードウェアのリプレースや、リプレースに伴うデータ移行が発生してしまいます。 - ディスク容量
利用する期間に取り扱うファイルサイズ以上の容量を確保する必要があります。あらかじめ予測した容量を超える場合にどうするかも考えておいたほうがよいかもしれません。 - ファイルの保存期間とバックアップ
万が一データが破損した場合に備えて、バックアップをとっておく必要があります。バックアップの方法および、世代数を考えたバックアップを計画します。また、保管期限を定めて廃棄・消去するルールも決めておくなどしてください。 - サーバの性能とネットワーク
利用人数、頻度に応じたサーバのCPU、メモリ、ディスク容量を決める必要があります。利用人数が多い場合、先に記載のサーバの役割別に分散化・冗長化も検討します。ネットワークの帯域も同様に利用人数、頻度に応じたものにします。障害時における復旧のためのハードウェア構成を検討しておくことも必要です。 - サーバの稼働時間
ユーザが利用するためのシステムのサービス時間、バックアップ、メンテナンスでの停止計画を決めておきます。 - 障害時の対応
障害が起こったときのリカバリ方法、担当者を決めておく必要があります。
上記は導入時だけではなく、定期的に棚卸しをして内容を見直すことも必要です。
まとめ
文書管理に使う図面サーバとはどのような分類や役割があるか、ご理解いただけましたでしょうか?
文書管理に図面サーバを利用することで、飛躍的に運用の幅が広がり快適な文書管理が行えるメリットを享受できますが、図面サーバを単に導入するだけでは文書管理は失敗するかもしれません。図面サーバは文書管理の要素の1つに過ぎないかもしれませんが、いくつもの注意点があります。文書管理を始める前に必ず図面サーバに着目して気をつけるべきことをしっかりと理解して準備してください。そのことこそが文書管理を成功させる心得ではないでしょうか。
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