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ペーパーレス化とは?電子化の課題と成功のポイント

コロナ禍の今、テレワークの普及に伴いペーパーレス化が注目されています。
ペーパーレス化には随分前から多くの企業が取り組んでいるのに、なぜ未だに企業の注目するキーワードとなっているのでしょうか。
これまでのペーパーレス化の取り組みにおいて何が問題となり、どんな課題が残ったのかも踏まえて、ペーパーレス化を成功させるポイントをご紹介します。

ペーパーレス化の経緯

手書きでの文書作成からワープロやPCを利用し文書を作成することが主流になった当時は、文書ファイルを活用(改訂・流用)することで業務効率をあげることに着目されていました。
その後、職場でも一人1台Windows PCが支給されるようになり、インターネットが普及しE-Mailによるファイルのやり取りが可能になってきた頃から、ペーパーレス化というキーワードが注目されるようになりました。
更に、環境保護の観点からISO14001を取得する企業が増えたこともペーパーレス化の取り組みに拍車を掛けています。
しかし、「契約書類」や「領収書」など、企業取引や税に関わる書類については国が原本の紙での保存を義務化しているため、ペーパーレス化を進めるにも限界がありました。
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大が、従来の環境を大きく変えました。感染防止のためのテレワークの普及を加速させる必要性が出てきたことが起爆剤となり、国も「脱ハンコ」を掲げ、紙での運用から電子データでの運用へ切り替える法整備が始まりました。これに伴い、ペーパーレス化も加速し始めています。

ペーパーレス化のメリット

ペーパーレス化のメリットを以下にご紹介します。

1.コスト削減

紙資料が減る=印刷の必要性がなくなります。
少し古い調査ですが、ガートナー社の発表(「Business Miss Out on Savings by Not Using Network Print Management Tools」Peter J. Grant、2005/9/19、GJ07273)によると企業は売上の1〜3%をプリンティング関連に費やしており、オフィスの印刷コストを見直すことは大きなコスト削減に繋がります。
また紙資料がなくなれば、ファイリングして保管+不要になった紙の棚卸しなどに掛かる人件費、保管場所の費用を削減することができます。

2.情報へのアクセス性

コロナ禍の環境下においては、急速に在宅勤務やサテライトオフィスでのテレワークを活用する業務体制に変化しているのは周知の事実です。
この時、問題になるのが紙資料の存在です。
紙でしか残っていない情報を参照する必要がある業務では、出社しないと業務が進められません。紙資料が電子化され、PCから参照できる場所に電子ファイルとして保存されていればテレワークでも問題なく業務が行えることになります。
また、ペーパーレス化が進めば、外出が多い営業の方などもいちいち帰社して資料を確認する必要もなくなるなど、資料へのアクセス性が格段に向上し、あらゆるシーンでその効果を発揮します。

3.情報の共有

昨今、ビジネスの目標達成を効率的に行えるかは、組織内の「情報共有力」に大きく依存すると言われています。
コミュニケーションが円滑になればビジネスのスピードアップにつながり、目標達成に向けた組織内の意識合わせが可能になります。

4.作業の効率化

現在、業務で作成する資料のほとんどはPC上で作成します。各自がPCを持ち、資料作成の際に過去に作成した資料を流用して作成する頻度が格段に高くなると、紙の情報を業務に活用するには電子化する作業が必要になります。
テレワーク化が進んだ現代では、資料も紙からメール等で電子データを入手するケースが増えてきており、ペーパーレス化の運用がやりやすくなってきて、作業も随分と楽になってきています。

ペーパーレス化の課題

ペーパーレス化は、もともと電子データの情報は紙に印刷しないことだけでなく、もともと紙の情報は電子化してデータとして活用することが重要です。しかし、単に電子データにしただけでは業務改善にはなりません。
ビジネスマンの大半は、年間に数百時間を探し物に費やしていると言われています。ペーパーレス化を進めると自ずとデータの数がどんどん増えていきます。皆さんも作成した電子データを保存するときは、後で探しやすいように日頃からフォルダを整理し、ファイル名は日付を入れる等工夫をして保存されていると思います。
電子データは作成してからしばらくの間は保管場所やファイル名など記憶しているものですが、半年以上経つとどこに保存したか思い出せず、すぐには見つからなくなります。
資料作成の途中で参考にしたい電子データを探すたびに5分、10分と費やしていては作業効率が下がってしまいます。
ペーパーレス化すると倍々ゲームのようにデータ数が増えていきますが、そのデータを如何にうまく活用できるようにするかがペーパーレス化の成功のポイントなのです。

ペーパーレス化を成功させるには?

ペーパーレス化を成功させるには以下の点を考慮して取り組む必要があります。

  • 最初から全社的なペーパーレス化を進めようとして多額の投資をしてしまうと費用対効果が出なくなります。ペーパーレス化はその効果が高いものからスモールスタートで段階的に取り組む方が結果として短期間でスムーズに効果的な運用を始めることができます。
  • 文書管理規程を制定し、電子データの運用ルールを明確化して属人的なルールでなく誰もが同じ保管ルールで運用することで、企業内で作成されたデータをみんなで活用することができるようになります。
  • データには必ず保存期限(永年保存を含む)を設け、活用できるデータを共有することで効率的な情報共有が可能となります。
  • 単に勢いでペーパーレス化を進めても費用対効果が出ているのか不明です。PDCA(Plan:計画/Do:実行/Check:評価/Action:改善)により目標設定をしっかりと計画して実践するだけでなく費用対効果を分析して常に改善していくことが重要です。ITリテラシーを正確に把握せず無理強いしてもうまく浸透しません。
  • 業務の状況に応じてペーパーレス化を実施して問題ないかしっかりと判断して取り組む必要があります。
    例えば、同じ工場でも組立の現場であればPC利用による電子データ参照も可能ですが、加工の現場では油・粉塵などの影響がありPC利用が難しいケースがあります。 また、災害や人命保護で緊急時にPCが利用できない状況でも参照が必要な資料(災害マニュアル)などは、紙での運用が必須であり、利用シーンによってペーパーレス化しても良いのかどうかしっかりと考えて実践していく必要があります。

まとめ

新型コロナウイルスの影響で、テレワークやWEB会議が普及したため、紙の資料を使わず電子ファイルやデータ等の電子情報のみで業務を進めるスタイルに世の中は変わってきています。
国も「脱ハンコ」を掲げ、無駄な押印は無くす観点から書面の電子化を推進し、e-文書法、電帳法(電子帳簿保存法)などの法改正を加速しています。
法的にもペーパーレス化を促進できる環境が整備されてきつつあり、今までペーパーレス化が難しかった業務も含めて、ペーパーレス化を加速しようと企業も取り組み始めています。
ペーパーレス化の失敗は企業価値が大きく下がる原因ともなりかねません。本書が、皆様のペーパーレス化の成功の一助となれば幸いです。

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