ブログペーパーレス化

ペーパーレス化の現状とメリット・デメリット

テレワークの普及によりペーパーレス化への取り組みが加速しています。紙を削減することでコスト面や働き方改革、環境問題への配慮等メリットばかりのように思いますが、実はデメリットも多くあります。ペーパーレス化のメリット・デメリットを整理し、うまく実践するコツをご紹介します。

ペーパーレス化の現状

企業情報の80%はドキュメントと言われています。
このドキュメントは、紙、アプリケーションで作成したファイル、メールの本文や添付ファイル、テキストメモなど色々なファイル形式が種々様々な状態で存在しています。
一昔前はワープロで文書を作成し紙で印刷、コピーして相手に渡すという流れが主流でしたが、インターネットが普及し始めた頃、Windows95が出現すると一気に企業・家庭でPCが普及しました。今、企業では1人1台PCの状況が当たり前になってきて、資料の作成はすべてPCやスマホ、タブレットなどで行う状況に変化しているのは周知の事実です。
またコロナ禍の状況からテレワーク・WEB会議が多用され、電子化されていない紙資料で業務をする為だけに会社へ出社するケースが問題視され、官公庁が率先して脱ハンコの流れを進めてきています。このような背景からペーパーレス化が近年急加速してきています。

ペーパーレス化のメリット

ペーパーレス化を実践することで以下のようなメリットがあります。
①コスト削減
ペーパーレス化は様々なコストを削減できます。
紙コストの削減、保管場所の小スペース化、書類の郵送コストの削減など、目に見えるコストを削減できる事から、費用対効果もわかりやすいです。

②業務の効率化
ISO9001(品質管理基準)では、紙で配布された情報は、受領確認を行なった上でファイルへ保存し、差替えた資料は返却し、配布部署が廃棄するなどのルールが決まっています。
配布業務では仕事が分散しているため1人が行う作業は微々たるものですが、何十人もで行っているとかなりの工数が実は掛かっています。
これは「紙=原本」と定めている為であり、ISO9001でも近年、電子データを原本と定める企業も年々増えてきています。
これもペーパーレス化の現れであり、電子化した原本を共有することでかなりの工数が削減できます。

③テレワークへの取り組みがやりやすくなる
先にも述べましたが、紙資料で運用しているケースでは、その紙で業務を進める必要があり、会社以外で業務することが難しい環境におかれます。ペーパーレス化を行い、場所を問わず資料にアクセスできればテレワークを推奨することが容易になります。
また、行政手続きで必要だった押印は、不動産登記や法人登記など実印が必要な83件の手続きを除き、すべて不要にする取り組みを政府が進めています。「脱ハンコ」への動きです。このような政府の取組みも、企業がペーパーレス化に向かっている要因ではないでしょうか。

④紛失・漏洩リスクの軽減
紙の書類は量が多くなれば多くなるほど紛失しても気づきませんし、気づくとしても発見までに時間を要します。
また紙資料をデジカメ等で撮影して持ち出されると何の証拠もなく情報が漏洩するリスクがあります。電子データであればアクセスコントロールで不要な閲覧を避けることや持ち出し操作(ファイルを開く、コピーする等)をログから追跡することも可能です。

⑤環境問題への配慮
SDGsを推進している企業も増えてきていますが、環境への配慮は今後避けて通れない取り組むべき課題です。ペーパーレス化を進めることは紙の消費を抑え、森林破壊の抑制に寄与します。
環境への取り組みはコストだけの問題ではなく、企業姿勢としても見られますので、企業側も率先して取り組み始めております。

ペーパーレス化のデメリット

ペーパーレス化は良いことばかりのように感じますが、実は逆に以下のデメリットがあります。

① コストが掛かる
ペーパーレス化の導入は上述のコストメリットがある反面、取り組みに掛かる人件費がかかります。モノより人件費のコストが高いと言われる世の中でどこまで人的コストを掛けるか判断が必要です。また、保管ルールの制定、社員教育など必要な作業は膨大となります。近年ではモニター画面を2つ使って業務するスタイルも増えてきています。多くの社員がいれば、その分の準備をしないといけないわけですから、ITへの設備投資もかかってしまいます。

②作業効率の低下
テレワークの導入でノートPCの導入割合が高くなってきていますが、小さい画面で文字を見続けると肩こり、目の疲れなどで体調を悪くする人も増えてきています。
電子データによる運用が浸透してくると、過去のデータを活用できるので、業務の効率化が進んでいきます。それに伴い、保管しているファイルが倍々ゲームの様に増えてきて、フォルダ名やファイル名だけでは探せなくなってきます。
結果として流用元ファイルが見つからず、似たようなファイルを何度も作成して無駄な工数を浪費してしまうこともあります。皆さんも似たような経験はないでしょうか?

③テレワークでは難しい業務への対応
日本は製造業が多く、工場では製品を製造・加工して初めて売上となるため、テレワーク化は難しいのが現状です。また工場での作業(特にプレス、溶接、切削など)は、チリや埃、油が多く存在する場所で行うことが多いので、PCの画面を見ながら作業することが難しく、汚れても安価で済む紙の利用に頼らざるをえない環境です。
その他、PCが使えない状態でも参照できる必要がある災害マニュアルなどのドキュメントはどうしても紙での運用しかありません。
このような紙でしか業務ができない職場をどうしていくのかも企業が悩む課題です。

④情報漏洩
ペーパーレス化のため電子ファイルで運用する場合、ファイルサーバではログを取得するにも限界があります。
ファイルサーバにあるファイルは、閲覧する権限があれば誰でもコピーができるので、簡単に持ち出せます。
後から追跡ができたとしても、そのときには社内の重要情報が他社に漏れてしまっていて、取り返しのつかない状況になっては元も子もありません。どの企業もいかにデータが漏洩しないかかなりのコストを掛けているのが現状ではないでしょうか?

デメリットをメリットに変えるには?

これまでの説明からペーパーレス化は取り組み方によってメリットにもなればデメリットにもなる事をご理解いただけたと思います。では、デメリットにならずメリットとして効果を出す為にはどのような点に注意して取り組むべきでしょうか?

①費用対効果の重視
まず、すぐ出来て効果が出やすい(費用対効果が高い)ところから進めてはいかがでしょうか。
費用対効果を出すポイントは、現状分析です。
紙の発生源をすべて洗い出し、紙にする必要性がないところを電子運用に変えてみましょう。また、社内の業務フローで同じ作業を何度も実施していることはないか?紙への出力を無くす事で無駄の軽減にならないか?などを洗い出してみましょう。このような作業には時間がかかりますが結果として近道になるのです。

②情報漏洩防止に向けた対策
効果が出るかどうかを洗い出して分析するまでは情報漏洩の点はいったん考えずに取り組んではいかがでしょうか。
効果をしっかりと確認した後、情報漏洩の問題に対して、どのような対策が必要かを検討する方法です。
また情報漏洩対策について単にシステムに頼るだけでなく、そもそもその運用が本当にあるべき姿なのか見直すのはIT化を検討する際のチャンスです。

③計画の立案
導入ポイントを洗い出した後、費用対効果と予算を見据えて数年間の大まかなスケジュールに落とし込み、少しずつ細かく立案していきます。
スケジュールまで立案した後は、計画のとおりに実施していきますが、時代背景も目まぐるしく変化する時代ですので、柔軟な計画の見直しも重要と考えます。

③管理規定の制定
保管ルールだけでは不十分なので、しっかり運用方法も規定し、社内に徹底することも重要です。各文書の区分け、保存期間、保管方法、そして何より廃棄ルールをしっかりと社内規定として定めます。
社員であれば誰でも理解し、日頃の運用でも無駄をなくすPDCAサイクルを回していくことが重要です。

まとめ

ペーパーレス化はその名のとおり「紙をなくす」ことを言いますが、紙をスキャナー等で電子化して紙を無くすことと、元から紙を使わず電子データのまま情報を活用する方法と大きく2通りがあります。最近ではFAXでの送信もメールに変わるなど、電子データでの運用がどんどん普及しています。
それでも紙の便利さ、気軽さが効果的なシーンもまだまだあります。
いかに紙とうまく付き合うかを考えながらペーパーレス化に取り組んでいってはいかがでしょうか。

当サイトでは、「D-QUICKシリーズ」についてわかりやすく説明している資料をご用意しております。安心・安全に図面・文書管理を行うためのポイントが理解できる資料になっています。ぜひ、ダウンロードページより資料をご覧ください。

まだ情報収集レベルで、学びを優先されたい方
「図面・文書管理で困ったときのハンドブック」~製造業・完成図書・テレワーク・クラウド、すべての解決策をお見せします~

システムやクラウドサービス等の具体的な解決策を探している方
図面・文書管理システム「D-QUICKシリーズ」基本ガイドブック

より詳しい事例を知りたい方
「製造業の図面・文書管理 自治体の完成図書管理 D-QUICK導入事例集」

「ペーパーレス化」の関連ブログ