昨今はITが普及し1人1台以上スマホをもつ時代ですが、「図面」の運用では、まだまだ紙を利用するシーンが多いのが現実です。なぜ図面の運用でペーパーレスが進みにくいのでしょう?図面のペーパーレス化を実現する方法を解説いたします。
もくじ
図面運用のペーパーレス化によるメリット
コンピュータが普及し始めたときから永遠のテーマとして挙げられるのが「ペーパーレス化」です。昨今、これだけITが普及し1人1台以上スマホをもつ時代ですが、図面の運用では、まだまだ紙が利用されているケースが多いのが現実です。しかし、図面をペーパーレス化すれば、非常に便利です。ペーパーレス化を実現すれば、以下のようなメリットがあります。
・印刷コストの削減
ペーパーレスという言葉の由来通り、紙(ペーパー)の削減(レス)が皆さん思いつく一番のメリットではないでしょうか。1枚の紙コストは微々たるものですが、大量に利用するとそれ相応のコストが掛かります。
さらにA3サイズまでは紙代も低コストですが、図面運用で利用されるA2サイズ以上の場合は、出力機器が割高のため、印刷コストも跳ね上がります。
・保管場所の削減
図面を多く所有する製造業・建設業・設備業・自治体などでは、数万枚〜数十万枚、大手企業になれば数百万枚所有している企業も少なくありません。紙のボリュームが多くなると、それ相応の保管スペースが必要です。
保管スペースは、地代家賃に影響しますので保管スペースが少なければ少ないほど保管する維持コストが不要になります。
・検索性の向上
紙を電子データ運用に変える最大のメリットは、データが検索できるようになることです。
しかし、単に電子化するだけでは、ファイル名による検索しかできません。
ファイルに対してフォルダを利用して仕分けすれば、図面データの整理が可能ですが、複数フォルダの串刺し検索は難しいです。例えば、Excel台帳を作れば、台帳に記載しているインデックス情報による検索が可能になります。さらにデータベースを利用したシステムを利用すれば、さらに検索性は向上します。
・情報の共有化
電子データを共有可能なストレージに保管し、ネットワークで利用すれば、社内の文書共有が可能になります。また、資料を共有すれば、情報の共有ができるだけでなく、データの再利用に活用でき、資料作成に掛かる時間を短縮することができます。
ペーパーレス化のデメリット
ペーパーレス化はメリットも多いですが、デメリットもあります。ここで、図面のペーパーレス化のデメリットも整理しておきましょう。
・情報漏洩の危険性
ペーパーレス化し電子データで共有すれば、情報共有が可能になります。情報共有ができるということは図面の内容が誰でも見られるだけでなく、印刷や持ち出しもでき、情報が漏れる危険性が高まります。
・過去の紙媒体からの電子化コスト
電子データの共有ができるようになると、過去の紙資料を手当たり次第に電子化したくなります。すべてを電子化した場合、情報を再利用できるのでメリットに感じます。
しかし、見るかどうかわからない情報については、結果として参照しなければ無駄なコスト発生の元となります。参照しないデータが邪魔をして活用できる情報が埋もれてしまう要因になりかねません。どの図面を電子データ化するかは、運用を見据えてしっかりと吟味する必要があります。
・単なるデータ化
紙資料を共有するために電子化してサーバへ保管さえすればそれでいいと思っていませんか?
単に電子化した大量のデータから目的の情報を探すことは容易ではありません。なぜなら、電子化した紙資料は、あくまでイメージデータであり、探すための文字情報は何も存在しないからです。
ファイル名に探せるようにキーワード(図面であれば図面番号をファイル名にするなど)を付与すれば最低限の探す行為は実現できます。
しかし、電子化は1枚あたりほんの数秒でできたとしても、1つのファイルに対してファイル名を付与するには、例えばファイルを開いて内容を確認し図面番号を入力する・・・といった作業が必要で、数十秒〜数分必要になります。
すなわち、1枚の紙資料の活用まで考えて電子化するのは、想像以上の時間が必要になります。
紙資料の電子化は、対象となる図面が大量にあると莫大なコストが掛かります。コスト面は、意外と紙の電子化が中々進まない要因のひとつと言えるでしょう。
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すぐできるペーパーレス化って?
すぐできるペーパーレス化は、単純です。今、電子データになっているものを紙にしないことです。仕事を進める上で、口頭で指示する以外では、何らかの資料を使うと思います。近年の仕事のやり方は、資料作成はPC上のアプリケーションを利用して作成し、電子データで保管するのが一般的です。
このように、資料をいかに紙にしないか・・・これでペーパーレス化が図れます。チェックしたいから紙に印刷してしまうと、チェックした結果が紙になり、承認情報が付加されると紙を電子化する必要が出てきます。
スキャンしてPDF化する、チェックした結果をExcel表に入力する、などわざわざ仕事の結果を記録する、残す為に電子情報を作成するムダな作業が発生します。チェックする業務について、紙を使用しない(ペーパーレス)方法で実施すれば、電子データ上に情報が残りますので、電子化する手間がなくなります。
さらに、仕事の記録を後で活用するケースまで想定した「業務を中心に考えた記録方法」を実施すれば、さらに業務の効率化が図れます。あまり難しく考える必要はないのです。普段の業務においていかに紙を使用せずに行うか、を実践するだけで意外に業務のペーパーレス化が実現できるものです。
すぐできないペーパーレス化って?
製造業で特にペーパーレス化が進まない要因のひとつが、製造現場の環境です。モノづくりには、図面や仕様書、部品表などを見ながら作業をする必要があります。
このような時、加工作業(削り、切り取り、曲げ)の製造業は、鉄粉の発生や油や埃などによる劣悪な環境で作業を行います。(電子機器や組立業務がメインの製造業は除く)、
ペーパーレス化を行う為にタブレットを利用したくても、手が油だらけでは画面操作もできないケースもあります。また、IT機器が使えない環境での作業現場で、ローコストで必要な情報が見られる紙は、やむを得ない事情があります。
さらに製造現場では、現場でしかわからない手順、注意点などを紙に追記することで、間違い防止や作業効率化を実現しています。これは、現場でしか知り得ない製造業の貴重な情報ですが、情報がアナログな点がペーパーレス化の足枷になります。
図面のペーパーレス化に役立つツールをご紹介
最近は、各業界それぞれで「DX」を実施し、業務改善を行っている企業が増えています。2023年に発表している経済産業省やIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の調査結果では、DXというキーワードは、企業の6割以上に浸透しているそうです。
このようなDXの流れに伴い、各ITベンダーもさまざまな製品を発売しています。最近ではAIが搭載され業務の自動化ができるツールなど、便利なものが続々と発売されています。ペーパーレス化に役立つツールをご紹介いたします。
・AI-OCR
紙資料を電子化した画像データ内の文字をデータ化するOCR技術に、AI技術を組み合わせたものです。AI-OCRを活用すると、従来は読取りが難しかった文字の認識精度が向上し、手作業で行っていた帳票のデータ入力作業が効率化し、業務の生産性が高まる点がメリットです。
・RPA
RPA(Robotic Process Automation)は、コンピュータ上で人が操作する内容を人の代わりに自動で実施してくれるソフトウェアのことを言います。人が判断しながら行う作業をRPAに実行させるのは難しいですが、決まった手順で行う作業をRPAに実施させることで、作業の自動化が実現可能です。さらにその作業頻度が多ければ多いほど、コストメリットは向上します。
・AI類似図形検索
AI類似図形検索は、AIを駆使して似た図形が記載されている資料を探すことができる図形検索の仕組みです。車の自動運転など画像解析技術がAIを使って格段に進化した技術を利用して、これまでベテラン社員や担当者でしか探すことができなかった情報を、誰でも簡単に探せます。
また、古い図面などはファイル名もバラバラで保管ルールも定まってないことが多く、1枚の図面を探すだけでも一苦労でしたが、図面の形状から探し出すことが可能であるため、検索ノウハウや情報が少なくても図面を探し出せます。
また、自分以外が作成した資料も検索できるため、業務効率化に威力を発揮します。

まとめ
「図面のペーパーレス化ってどうしたらいいの?製造業のあなたに」と題して、ご紹介してまいりました。
ご紹介した図面のペーパーレス化に役立つツール以外にも、図面管理システムや、PDM・PLMなど業務を便利にするツールがあります。興味のある方は一度ご検討してみてはいかがでしょうか?
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